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カンマとピリオド

作品にタイトルをつけるのにいつも悩む。
時々制作中にひらめいた言葉のイメージに引っ張られて作り上げ、タイトルもそのままつけることがあるけど。例えば「雨のメリーゴーランド」はワイヤーフレームの形からふと思いついて、後はそのイメージで進めていった。でもそういうことは稀。「千年夢」はさんざん考え疲れて、もうこれでいいや!とつけた。

多分、欲張ろうとするから悩むんだろう。元になったイメージ、表現したかったあれこれ、それらを短い言葉で簡潔に表すなんて至難だ。タイトルをつけた後でいつも「これでよかったのかな、自分が言いたかったことと合ってるのかな」とグズグズ考えたりする。
でもその一方で、タイトルは記号に過ぎない気もしている。タイトルが説明になってしまうのもなんだかなという気もする。

制作に当たって持っていたイメージや表現したかったことは作品から感じ取って欲しいけど、こちらの想いまで押し付けたくはないのだ。タイトルという形のピリオドを打ちたくはない。タイトルは借りのもの、カンマみたいなもの。私の手を離れたら作品と鑑賞者の間で新たな関係が始まってゆくのがいい。好きな名前やあだ名で呼んでもらって、その人の空想に引き込んでもらえたら一番嬉しい。…

そうはいっても、何がしか作者による説明がある方が受け入れやすい作品というのもある。だったら作品ページに説明なり思い入れなり書き込めばいいのだけど、私自身がよその作品で説明が多いのはどんなものかという思いがあったりして、素直に書くことが出来ない。結局距離感を取って、この場所で補足しているのだった。
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麦秋



いま北海道はまさに「麦秋」。麦が黄金色に、あるいは白銀を帯びた緑色に色づいている。小麦には家畜用のものもあって、それは草ロールになる。小麦で作った草ロールは当たり前だけど小麦色だ。6月に牧草で作られる緑の草ロール、次が小麦色の草ロール。あと一回秋のやや末枯れた牧草の草ロールが作られたら、北の大地は冬に向かう。

写真は隣町訓子府の農地。ここを見つけてからは撮影ポイントのひとつに決めて、時々写真を撮っている。

写真ブログ mini photo

流木の造形

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流木の造形「千年夢」。台座は浜で採取した軽石。羽の形の流木は、この形のまま落ちていた。頭部の目はくぼみを生かして彫り込んでいる。

ストックしてある流木を見ていた時に、骨のような細長い木が目に留まって「これで何か作れないかな」と思った。ややくの字の形から”浜に立ち尽くして夢想しそのまま化石になってしまった生き物”というイメージが湧いた。羽の形のがあったのを思い出して合わせ、頭部はどれを選ぶか悩んだ。羽が存在感があるので相殺にならないよう頭部をあっさりさせようと思っていたけど、結局最初に手にとった流木の強い個性にインスピレーションを感じて使うことにした。私は化石か骨のような雰囲気にまで風化している流木が好きで、集めるのもそういうものばかりだ。

流木の造形はたくさんの人がされてる(特に鳥が多い)し、人と同じようなものを作ってもと敬遠していたけど、最近はあまり考えすぎず思いついたものをどんどん作っていこうと思うようにしている。

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北の海のクラフトを作っています 胡舟クラフト

スターチス

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毎年5月に北見の園芸市でスターチスの苗を買う。ひとつ100円もしない苗を一色ずつ。7月こんなにきれいに咲いた。
スターチスは現在は正式名称リモニュームという。イソマツ科スターチス属だったのが、リモニューム属に名称変更になったため。(園芸界では時たまこうした学名の改更があり、ミモザが銀葉アカシアになったりしてややこしい。)でも鮮やかな色彩やぱりぱりカサカサした質感は、「リモニューム」の柔らかな語感よりも「スターチス」のキレのある語感に合っている気がする。近年はパステルカラーも出ているようだけれど。
耐寒性はないけど北国の乾燥した夏に合うのか、手もかからないできれいな花を咲かせてくれる。切花にしてもよく保つし、花後はもちろんドライフラワーになる。庭に咲いていた時と変わらない鮮やかな色を2年くらいは保ってくれる。
ところで花が終わったのかどうか、どうやってわかると思いますか?
色鮮やかなガクの中に小さく白く見えているのが実は花なのだ。小さな白いあぶくのようなつぼみがガクの中にぷつっと浮かんできて、やがて開く。初めてこのことを知ったときいたく感動してしまった。毎日新しいあぶくが出て、開く。これがなくなったら花が終わった合図。陰干しにしてドライフラワーにする。でも黄色いスターチスは、花もガクも黄色いから見分けがつかない。
温度があれば通年咲くとあるので、なんとか冬の間も室内で咲かせようとするけど、寒すぎるのかいつも枯れてしまう。だから5月を待って苗を購入する。ここ数年そのサイクルを続けている。

山の人生

北見図書館の一番奥まった部屋に初めて入ってみたら、北海道関係の資料室だった。最近よくそこから借りている。

「北海道砂金掘り」北海道新聞社 加藤公夫著
戦前から昭和40年代にかけて大樹町の暦舟川で砂金掘りをしていた、最期の砂金堀り師・辻秀雄さんの人生を聞き書きでまとめたもの。砂金の話はもちろん、鉱山や山暮らしでのエピソードが興味深い。辻さんは十代で鉱山に入り、鉱夫をやめてからも初老まで独り手製の笹小屋で、山中で砂金を掘りながら暮らした。川で釣りをし、山草やきのこや野ウサギを獲って食べ、必要なものは砂金を売って手に入れた。

衝撃に近い感銘を受けた。久しく忘れていた山の生への憧れが蘇った。「これこそリアルな山の人生!」

賢治文学の山男、遠野物語と山の人生、宮本常一、学生の時に興味を持ったサンカ(山窩)。箱根の山に住んで寄木や凧の職人になることに憧れ、タイマグラに入植してみたかった。山また山を旅して歩くそれ自体が人生、の股旅物にはまったりした。
なぜ山の生に惹かれるんだろう。山に入れば独りで生きられる、そのことに多分共感するのだ。生きる知恵と力があれば、山は生きていくのに必要なものを与えてくれる。

辻さんは「寂しくなると町に出て話をした。そのうち山が恋しくなった。人に使われたりするのは性に合わない」と話す。浮世ときっぱり袂を分かって、誰にも気を使わず誰もあてにせず気楽な山暮らし。
しかし砂金が斜陽となった後も、初老になるまで辻さんを山に引きとめたのは、砂金そのものの魅力だった。一本筋を引いたような単純な生は、赤く輝く(砂金が多く堆積していると赤く見えるそう)砂金への憧れによって、孤高の輝きを放っているように私には感じられる。

この話を聞き書きでまとめた筆者は「最初砂金掘りに興味を持ったのだが、話をきくうち次第に辻さん自身の人生に興味が起こってきた」と書いている通り、文章に一切余計な感想などを入れず辻さんが経験し感じたままを記そうとしていて、効果的に稀有な人生を浮き彫りにしていて好感を持った。

この本の後もしばらく鉱山に関する本を続けて読むことになる。
プロフィール

胡舟

Author:胡舟
北海道オホーツクに在住し北の海のクラフトを作っています。

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