マザーグース
久しぶりにマザーグースが読みたくなって近所の図書館へ行った。子供のとき家にあった谷川俊太郎訳/堀内誠一画の5冊組があったので懐かしくて借りたけど、もう1冊別のマザーグースがありそれも借りてみたら、大変に楽しい本だった。もう絶版になっているようだ。
「マザーグース」アイオーナ・オーピー編(北村太郎訳)1991年パルコ出版

マザーグース研究者のオーピー夫妻は、長年かけて英語圏から膨大な数の伝承歌を収集・記録してきた。(「マザーグース」という呼び方をするのは日本と米だけで、英国では「Nursery Rhymes(伝承歌謡、伝承童謡)」というそうだ。)未亡人となったアイオーナさんはそれらを後学のための資料としてケンブリッジ(?)図書館に永久保存したいと願い、その費用捻出の一助にと出版された本だそう。全編きれいなイラストと歌で構成されていて、特にこれまであまり出版されたことのない歌が集められている。絵は50人以上もの現代英国の有名イラストレーターが担当している。小さな子供にも親しみやすいような歌がたくさんあって、残酷なものやバッドエンディングなもの(マザーグースらしいダークな歌)はほとんど無かった。その変わり明るく楽しくナンセンスな歌と素晴らしいたくさんのイラストをつらつら眺めていると、微笑ましく愉快な気分になれる素敵な本。イギリス人の絵はアメリカのようなどぎついほどのデフォルメをせず、あっさりしている感じで色使いも繊細で美しい。水彩画の伝統のある国らしく透明感があって、日本人の感覚にもすんなりくるように感じる。お気に入りの絵をいくつか載せておこう。

犬がとても表情たっぷりに可愛く描けてて思わず顔がゆるんでしまう。切れてしまってるけど、四隅にいる2匹ずつ組んで踊る犬もすっごく可愛い。

このちょっととぼけた味のある絵、一目見て好きになった。日曜日にやっと新しい上着を着られたチャーリーが喜んでて微笑ましい。日曜以外の日に冴えない顔していて可笑しい。

ビカースタッフさんが歩いている海辺が、砂利だらけで流木とか転がってて「きっとイギリスの浜辺ってこうなんだろうなぁ」と思った。短い歌に雰囲気のある絵で余韻が残る詩になっている。画家の想像力って凄いと思う。
私が一番大好きな、冒頭にあるサラ・ミッダのイラスト。なんて愛らしくて、なんてファンタジック。

参考サイト:オーピー夫妻とマザーグース
おまけ:TOTO--Georgie Porgie(youtube)
(Georgie Porgieはマザーグース中の有名な歌。詩をそのままサビの歌詞にした名曲。)
「マザーグース」アイオーナ・オーピー編(北村太郎訳)1991年パルコ出版

マザーグース研究者のオーピー夫妻は、長年かけて英語圏から膨大な数の伝承歌を収集・記録してきた。(「マザーグース」という呼び方をするのは日本と米だけで、英国では「Nursery Rhymes(伝承歌謡、伝承童謡)」というそうだ。)未亡人となったアイオーナさんはそれらを後学のための資料としてケンブリッジ(?)図書館に永久保存したいと願い、その費用捻出の一助にと出版された本だそう。全編きれいなイラストと歌で構成されていて、特にこれまであまり出版されたことのない歌が集められている。絵は50人以上もの現代英国の有名イラストレーターが担当している。小さな子供にも親しみやすいような歌がたくさんあって、残酷なものやバッドエンディングなもの(マザーグースらしいダークな歌)はほとんど無かった。その変わり明るく楽しくナンセンスな歌と素晴らしいたくさんのイラストをつらつら眺めていると、微笑ましく愉快な気分になれる素敵な本。イギリス人の絵はアメリカのようなどぎついほどのデフォルメをせず、あっさりしている感じで色使いも繊細で美しい。水彩画の伝統のある国らしく透明感があって、日本人の感覚にもすんなりくるように感じる。お気に入りの絵をいくつか載せておこう。

犬がとても表情たっぷりに可愛く描けてて思わず顔がゆるんでしまう。切れてしまってるけど、四隅にいる2匹ずつ組んで踊る犬もすっごく可愛い。

このちょっととぼけた味のある絵、一目見て好きになった。日曜日にやっと新しい上着を着られたチャーリーが喜んでて微笑ましい。日曜以外の日に冴えない顔していて可笑しい。

ビカースタッフさんが歩いている海辺が、砂利だらけで流木とか転がってて「きっとイギリスの浜辺ってこうなんだろうなぁ」と思った。短い歌に雰囲気のある絵で余韻が残る詩になっている。画家の想像力って凄いと思う。
私が一番大好きな、冒頭にあるサラ・ミッダのイラスト。なんて愛らしくて、なんてファンタジック。

参考サイト:オーピー夫妻とマザーグース
おまけ:TOTO--Georgie Porgie(youtube)
(Georgie Porgieはマザーグース中の有名な歌。詩をそのままサビの歌詞にした名曲。)
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ぐるんぱのようちえん

ぐるんぱは象の名前だ。「さびしいな、かなしいな」といって、草に耳をこすりつけてはめそめそ泣いていたひとりぼっちのぐるんぱは、象仲間たちに鼻のシャワーで水をかけられブラシでゴシゴシ洗われて、きれいになって働くために森を出発する。まずこの出発までのシーンが愉快だ。ぐるんぱが汚れて臭いというので、仲間たちが鼻を上に向けたまま、ぐるりとぐるんぱを取り巻いて相談する。ぐるんぱっていう名前も一度きいたら心に棲みついてしまう愛らしさ。
名作絵本として有名らしい。うちにも昔あって、何度も読み返した。妹も私もこの絵本が大好きだった。たくさんあった絵本はボロボロになったり表紙がとれたりしてだんだん処分されていったけど、最期まで残った中に「ぐるんぱ」もあった。多分実家に行けばまだ残っているだろう。
今この文章を書くために調べていて、作画が堀内誠一さんだったと初めて知って驚いた。あの「マザーグース」で独特の世界観を作り上げた堀内さんが、こんなほのぼのした可愛らしい絵を描いていたなんて。
絵本の中の絵をアップしたかったけど、表紙絵しか見つけられなかった。でも、どこへ行っても並外れて大きなものしか作れないぐるんぱが今で言うリストラされて「ぐるんぱは、しょんぼりしょんぼり。がっかりしてくーさんのところを出て行きました」などというお話のリズムや、ぐるんぱが子供たちに「ぼくは大きなゾウだぞう」と歌を歌ってあげたりする一つ一つの絵は、今でもしっかり覚えている。
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付記(2007年11月)
先日実家へ帰ったので、物置から絵本を探し出して写真に撮ってきた。
最初のページの題字。

下に「これは ぐるんぱが かいた じ です」と書いてある。この字がとっても好き。

ぐるんぱが草に耳をこすりつけて「さびしいな」と泣いてるところ。

ぐるんぱを囲んで会議中。鼻を上に向けているのはぐるんぱがくさいから。

川へ連れて行ってみんなで洗う。
このあとぐるんぱは街へ出て働く。くつやさんにビスケットやさんにピアノ工場…と楽しい絵が続くのだけど、残念!ここでデジカメの電池切れ…(><)(飛行機の時間が迫っていたため已む無く諦めた。無念)
初版は1966年。嬉しいことに現在でもAmazonで購入できる(しかも安価)。検索したところ2003年に英訳されて英語圏でも出版されているらしい。タイトルは「Groompa’s Kindergarten」。