カレーライス

カレーのCMが嫌いだ。
小奇麗な家で美人のお母さんが楽しげにカレーを作り、ホッと緩んだ顔のお父さんが家路を急いだりして。そういうのを見ると「早く帰って我が家のカレーをパクつくしか楽しみのないような男だな・・」と思ってしまう。野心・闘い・孤独などのキーワードとは無縁のただもう家庭大事の夫・父ですみたいな男。あーつまらん。ニコニコしてカレーを食べる男より怒ったような顔で黙々とラーメンを食べる男の方が私は好き。
カレーライスって妙に家庭的な食べ物。カレー=一家団欒、みたいな図式がすぐ浮かぶ。寺山修司は「ラーメンは闘う男の、カレーは保守的な男の食べ物」と書いた。同意。すごくわかる。
私だってカレーライスは好きだしうちでもよく作る。でも外ではよほどのことがない限り食べない。だって旅先や観光地でカレーを食べるなんてつまらないもの。なんだかありふれた日常生活に引き戻されてしまう気がする。

いま北海道はスープカレーを売り出そうとしている。美味しい野菜も肉も獲れるんだから路線は間違ってない。でも、カレー以外にもいろんな野菜煮込み料理があると思うのよ。ポトフだっていいし、そもそもシチューは決まったルールはないんだから北の大地のシチューとか銘打って、もっとオリジナルでいいと思う。(クリームシチューを売り出すなら、悩みの牛乳消費不足を解消するのにもってこいだ。)
でもカレーはどこまでいってもカレーじゃないかと思うのだ。多分親しみやすく大人から子供までわかりやすいってことなんだろうけど、それ以上でも以下でもないし。なんか夢がない気がするカレーじゃ。カレーがいろんな可能性のある料理だってことはもちろん認める。
国によって作り方も味も全く違うし。でもイメージが…例のCMのイメージが染み付いてしまってる食品だ。家族そろってみんなで仲良くカレーでニコニコ、っていう。それが不満なの。日常・安定感・保守的ってイメージがが不満。
カレーよりシチューやラーメンの方が創造的に思えるのだ。そもそも北海道はワイルドでナチュラルで夢のある北の大地ってイメージでしょう。旅すること自体が創造的な体験のはず。だからもっと夢のあるメニューをアピールして欲しいと思うのだ。

でもカレーうどんは好物なんだけどね。
プロフィール

胡舟

Author:胡舟
北海道オホーツクに在住し北の海のクラフトを作っています。

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