ねこのごんごん

私の大好きな絵本。絵本といってもペーパーバックみたいな感じだったなと思ったら、1975年に福音館書店こどもの友4月号として刊行されたそうだ。現在は廃刊になっている。
田舎家に迷い込んだ野良の子猫「ごんごん」と年取った白猫「ちょん」のお話は、細部まで丁寧に生き生きと描きこまれている。板敷きの縁側のヒヤヒヤした感じ、庭に咲くフクシアやひまわりの花、放し飼いの鶏たちの賑やかな様子、ごんごんが落っこちた池の鯉や縁の丸石、ちょんのお墓の横に咲くおしべの長い彼岸花。そういったものがひとつひとつ生き生きと、愛情を込めて描いてある。絵の隅々まで楽しめて、田舎の大きな農家の雰囲気が伝わってくる。何度も何度も楽しみながら眺めた絵本。まだ実家にあるだろうか?
作・画の大道あやさんは60歳になってから絵を描き始めた由。この記事を書くために調べて、丸木位里の実妹と初めて知った。波乱の生涯を送られた方だそう。絵はハートなんだということが伝わってくる。物作りも同じ、きっと。