春に寄す
足かけ2年毎週楽しみに観てたスーパーピアノレッスンがついに終了してしまった。とても残念。ほとんど生き甲斐だったのに(泣)。番組のお陰でこれまで聴いてなかった作曲家のCDを買うようになった。その中の一枚にたまたま入っていたグリーグ「春に寄す」に、たいへん感銘を受けた。(グリーグはSPレッスンでは取り上げられていない)
その曲を最初に聴いたとき「これは北海道の春だ」と強く思った。積もった雪が下の方から溶けて水が染み出し、ちょろちょろと小さな流れはやがて滔々と流れる春の川に。凍てついた土が温んで蒸気がのぼり木々が芽を吹く。そんなこちらの早春の情景が頭の中いっぱいに広がった。同時に傷つき強ばった人の心がゆっくりと解れて、精神が立ち上がっていく様子にも感じられる。2分ほどの曲なのにスケールが大きくて感動的なのだ。
「春に寄す(Til Foraret)」は叙情小曲集の中でとりわけ有名な曲らしい。叙情小曲集はグリーグが生涯にわたって作り続けたピアノ独奏曲集で、全部で66曲(全10集)ある。6-8曲ごとにまとめて出版されたが決まったテーマなどはなく、個々に独立した曲のassemblageになっている。北欧の風物や農村生活などに材をとった、詩情豊かな音楽スケッチともいえる。叙情小曲集を全曲聴いてみたくなってCDを探したところ、復刻されたばかりの舘野泉さんのCDを見つけて即購入。現在ヘビーローテーションで聴いている。「アリエッタ」「そなたのそばに」なども可愛らしい。そのうち弾いてみたいと思う。
ところでグリーグについても調べて、親しみと共感を感じた。購入したCDの解説文(菅野浩和氏文:詳しくわかりやすくてGood)と、Wikipediaをちょっと参考にさせてもらおう。
グリーグはノルウェーの国民的音楽家。日本ではペール・ギュント組曲だけが有名だけど、上述の通り生涯を通じて多くのピアノ曲を書いており”北欧のショパン”と称されるそうだ。小柄な人だったそうで、従兄弟で歌手でもあった女性と結婚し、終生穏やかな家庭生活を送った。早くから才能を認められて音楽家として仕事をしたが、物静かで沈思黙考型の人だったらしく、聴衆の前で華々しく演奏したり「指揮者として対人関係の難しい仕事に神経をすり減らすよりは、一人静かに作曲することを好んだ」。そこで、一人静かに作曲するためにグリーグさんが選んだ場所というのが素敵なのだ!私が最も共感してしまう部分。まずトロルドハウゲンという海の村の、入り組んだ湾(フィヨルドですな)に突き出た小さな岬の先端に小さな家を建てて住みついた。さらに岬の崖を波打ち際まで降りたところに粗末な仕事小屋を建てた。「ここにはアップライトピアノ1台と机一つだけで、誰にも妨げられることなく、気が向いたらここにこもって創作をおこなったのであろう」。すてき素敵!常呂の海辺に灯台のような家兼作業場を建てて暮らしたいと妄想してる私には、夢のような理想の生活だ。ちなみにシベリウスも都会生活を嫌って中年以降は田園での閑居生活に入り創作活動したらしい。北欧の海と自然はどこかオホーツクに通じる気がするし、グリーグの創作と生き方は感覚的にぴったりくる。小屋の窓外に広がる入り江と波の音、その中で独り篭って創作に集中するグリーグの幸福が目に浮かぶようだ。
Wikiにある「終生小さな置物やぬいぐるみを大切にし、一緒に寝たり演奏中ポケットにそっと忍ばせていたりした」も、なんて微笑ましいエピソード。大曲を好まず小曲や室内楽をたくさん作った詩人気質の音楽家らしい。もしも私が貝殻のたくさんついた小さなフレームをこしらえて、「貴方の音楽を敬愛する者です」とだけメッセージをつけて岬の小屋に送ったら、グリーグさんは喜んでくれるだろうか?....
ところで私見だけど、北海道の風景は北欧の音楽によく似合うと思っている。シベリウス「樹の組曲」やパルムグレン、グリーグなどの演奏を初冬の午後に、薄く雪の積もった丘と枝だけになった林を眺めながら聴くことが出来たら、そんな演奏会があったならどんなにか素敵だろうなぁ。
その曲を最初に聴いたとき「これは北海道の春だ」と強く思った。積もった雪が下の方から溶けて水が染み出し、ちょろちょろと小さな流れはやがて滔々と流れる春の川に。凍てついた土が温んで蒸気がのぼり木々が芽を吹く。そんなこちらの早春の情景が頭の中いっぱいに広がった。同時に傷つき強ばった人の心がゆっくりと解れて、精神が立ち上がっていく様子にも感じられる。2分ほどの曲なのにスケールが大きくて感動的なのだ。
「春に寄す(Til Foraret)」は叙情小曲集の中でとりわけ有名な曲らしい。叙情小曲集はグリーグが生涯にわたって作り続けたピアノ独奏曲集で、全部で66曲(全10集)ある。6-8曲ごとにまとめて出版されたが決まったテーマなどはなく、個々に独立した曲のassemblageになっている。北欧の風物や農村生活などに材をとった、詩情豊かな音楽スケッチともいえる。叙情小曲集を全曲聴いてみたくなってCDを探したところ、復刻されたばかりの舘野泉さんのCDを見つけて即購入。現在ヘビーローテーションで聴いている。「アリエッタ」「そなたのそばに」なども可愛らしい。そのうち弾いてみたいと思う。
ところでグリーグについても調べて、親しみと共感を感じた。購入したCDの解説文(菅野浩和氏文:詳しくわかりやすくてGood)と、Wikipediaをちょっと参考にさせてもらおう。
グリーグはノルウェーの国民的音楽家。日本ではペール・ギュント組曲だけが有名だけど、上述の通り生涯を通じて多くのピアノ曲を書いており”北欧のショパン”と称されるそうだ。小柄な人だったそうで、従兄弟で歌手でもあった女性と結婚し、終生穏やかな家庭生活を送った。早くから才能を認められて音楽家として仕事をしたが、物静かで沈思黙考型の人だったらしく、聴衆の前で華々しく演奏したり「指揮者として対人関係の難しい仕事に神経をすり減らすよりは、一人静かに作曲することを好んだ」。そこで、一人静かに作曲するためにグリーグさんが選んだ場所というのが素敵なのだ!私が最も共感してしまう部分。まずトロルドハウゲンという海の村の、入り組んだ湾(フィヨルドですな)に突き出た小さな岬の先端に小さな家を建てて住みついた。さらに岬の崖を波打ち際まで降りたところに粗末な仕事小屋を建てた。「ここにはアップライトピアノ1台と机一つだけで、誰にも妨げられることなく、気が向いたらここにこもって創作をおこなったのであろう」。すてき素敵!常呂の海辺に灯台のような家兼作業場を建てて暮らしたいと妄想してる私には、夢のような理想の生活だ。ちなみにシベリウスも都会生活を嫌って中年以降は田園での閑居生活に入り創作活動したらしい。北欧の海と自然はどこかオホーツクに通じる気がするし、グリーグの創作と生き方は感覚的にぴったりくる。小屋の窓外に広がる入り江と波の音、その中で独り篭って創作に集中するグリーグの幸福が目に浮かぶようだ。
Wikiにある「終生小さな置物やぬいぐるみを大切にし、一緒に寝たり演奏中ポケットにそっと忍ばせていたりした」も、なんて微笑ましいエピソード。大曲を好まず小曲や室内楽をたくさん作った詩人気質の音楽家らしい。もしも私が貝殻のたくさんついた小さなフレームをこしらえて、「貴方の音楽を敬愛する者です」とだけメッセージをつけて岬の小屋に送ったら、グリーグさんは喜んでくれるだろうか?....
ところで私見だけど、北海道の風景は北欧の音楽によく似合うと思っている。シベリウス「樹の組曲」やパルムグレン、グリーグなどの演奏を初冬の午後に、薄く雪の積もった丘と枝だけになった林を眺めながら聴くことが出来たら、そんな演奏会があったならどんなにか素敵だろうなぁ。