ごめんね珊瑚

ネットで注文していたサンゴが今日届いた。写真で見ていたよりも色も白くて値段もリーズナブルで良い買い物だったと思う。
購入したのは約10センチ四方の塊り5個。裏から見るとマイタケそっくりだ。一番きれいな珊瑚を記念撮影し、それから依頼制作物に使うため細かく割って小枝に分けた。せっかくきれいな珊瑚塊を金槌で叩き割って、さらに派手なピンクに着色するのは胸が痛む。でも作業自体はためらいなく手早くガンガン割る。傍から眺めたら珊瑚を割る作業に心が痛んでるようには見えないだろうきっと。
塊りになったサンゴは浜に打ち上がったものではなく、海中で採取されたものだろう。年に数ミリしか伸びないといわれる天然珊瑚、貴重な自然をわざわざ採っているのに、その美しさをそのまま生かせないのは悲しい。(しかもサンゴは生物、命あるものを採取しているわけだ。)でもこれも仕事のうちで仕方ない。「ごめんね、サンゴ。」と心の中で謝る。ひとかけらも無駄にせず大事に使おう。

今回は依頼の仕事なので例外的に市販の珊瑚を購入したけど、私は基本的に市販の貝殻は使わない。売られている貝殻や珊瑚は、安価な雑貝以外はほとんど海中で採取されたものだ。生きている貴重な自然を採取してまで素材にしたいとは思わない。無傷の標本貝をわざわざ求めてクラフトに使うのは気が引けるのだ。「こういうものを作るからあの貝が必要」という発想ではなく、私の場合はまず素材ありき。拾った貝殻や浮き玉をひねくり回してると浮かんでくるイメージを形にしたいと思っている。格好をつけて言えば素材への愛が創作のイメージを生み出してくれるのだと思う。前回書いたダニエル・オスト氏の言葉「創作によって花を死なせてしまう、だから花の命を最大限に表現したい」に共鳴したのは、オスト氏の根本にある花への愛しみが理解できたからだと思う。
プロフィール

胡舟

Author:胡舟
北海道オホーツクに在住し北の海のクラフトを作っています。

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