ON A CLEAR DAY

「ON A CLEAR DAY(You Can See Forever)」これこそビル・エヴァンスらしいFantasticな演奏。ソロアルバム「ALONE」収録。Amazonで試聴して”一聴惚れ”してしまった。毎日1回はこの曲を聴いている。こういう古き良き都会を思わせる洒落たナンバー、大好き。NewYork・NewYorkとかMANHATTANとか、AUTUMN IN NEWYORKだとか。

日本語タイトルは「晴れた日に永遠が見える」。なんとなく聞いたことはあったけど、調べたら元はミュージカル映画だった。タイトルから想像したのとは違ってバーブラ・ストライザンド主演の洒落たラブストーリーだそうな。残念ながら未見。いま観たいと思っても、TVではやらないしビデオもとうに廃盤だったり、かといってDVD化もされてなかったりで、これくらいの古さの映画が一番難しい。
バーブラは最近見かけなくなったな。アクが強く、自己主張も押し出しも強くてハリウッドの嫌われ者だったようだけど、歌も芝居も実に達者で私は好きだった。今比較するならさしずめベッド・ミドラーやウーピー・ゴールドバーグ?でもこの二人よりバーブラの方が透明感のある声質だと思う。ファニーフェイスなのにR・レッドフォードだのO・シャリフだのR・オニールだの、当時を代表する二枚目スター(古い言い方だな)とばかり競演してたのが印象的。晴れた日に~も相手役はイブ・モンタンだ。(観たい!)

CDが届いた日はとてもいい天気だったので、カーステで聴きながら夕方近所をドライブした。雪が降る直前で紅葉もすっかり終わっている。林の枝の重なりが透かし細工みたい。白さの増した白樺、黒々した針葉樹。農地は黒土がフカフカしている。秋蒔きの麦が少し伸びて、緑のじゅうたんを作っている。低い太陽のせいで風景がラベンダー色を帯びている。空もすみれ色、雲は薄いピンク。前方には真っ白な阿寒岳がくっきりと見える。ミレーなどの西洋画の田園風景みたいに、とても豊かで深みがある色彩。それにビルの演奏がとてもマッチしてる。
私はこんな初冬の良く晴れた日、特に日の傾きかかった時間が大好きだ。クリアな空気の中で全てが美しく見える。何のわだかまりもなくなって心が伸び伸びする気がする。永遠が見えそうな日、って今日みたいな日かもしれないと思った。

西行は「願わくば花の下にて春死なむ」と歌ったけど、私は晩秋か初冬のよく晴れた日がいい。乾燥した透明な空気の中で、物の形がくっきりと色美しく見える日。永遠が見えそうなくらいよく晴れた日に。
プロフィール

胡舟

Author:胡舟
北海道オホーツクに在住し北の海のクラフトを作っています。

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