日本の灯台

「日本の灯台 The Lighthouses of Japan」 山崎猛 写真集
昨夏能取岬に行った時にたまたま灯台の公開日で、入り口のところにテーブルを持ち出してこの写真集が展示してあった。その時は気がつかなかったけど、今日図書館でよく見たら表紙が能取岬灯台ではないか!だから展示してあったのね。それにしてもこの表紙写真は素晴らしい。流氷迫る岬、厳しい自然の中に神々しいばかりに立つ灯台の存在感が圧倒的だ。
撮影者の山崎猛氏は1937年北海道に生まれ育ち、現在も斜里にお住まいの由。写真集には日本中の名灯台が多数収められているが、山崎氏が強い思い入れをお持ちなのはやはり北海道オホーツクの灯台、特に能取岬灯台だそうで、写真集のトップを切って11ページにわたり四季折々の能取の写真が飾られている。能取岬と灯台をこよなく愛する私としても、誇らしいような嬉しさだ。その能取岬灯台に寄せられた山崎氏の文章が感動的なので、ここに写させていただく。
「オホーツク海に宇宙の神が舞い降りて、座る大地としては能取岬が最も相応しい。これほど四季に自然を謳い、華麗な色彩で宙と大地と海が見事に調和する岬を私は他に知らない。夏のオホーツクブルーの海面に、冬の流氷に閉ざされた海に向かい合い、指揮者のように立つ灯台に季節の喝采が降り注ぐ。この岬にはヴィヴァルディの協奏曲集『四季』作品8がよく似合う。冬から春へ、朝から夜へ、終わりのない響きが岬を包み遊んでいる。全国に点在する『日本の灯台』のプロローグとして、能取岬灯台の四季折々、千変万化の表情をここに紹介する。」
能取岬の魅力を完璧に伝える思いのこもった一文。私も折に触れて何度も訪れているけれど、写真によって初めて気づかされた魅力的な表情がいくつもあった。先日行ったばかりだけど、また行きたくなった。

もちろん能取岬だけでなく、おそらく海上保安庁の人しか近づけないような場所にある灯台も航空写真を駆使して撮っていたり、同じポイントで季節を変えて写したり、貴重な記録だと思う。日本の海辺が様々に奥深い豊かな表情を持っていることに気づかされる。2万円と高価だけれども逆に安直に出来ていないのが良い。いつか所蔵したい写真集。