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パンクな機械

機械や機械部品にわけもなく惹かれる。とりわけ計器類や蒸気機関車や手巻き式時計などに。その延長でメカっぽいテイストのobjectにも惹かれる。動力が単純なほど機械はどこか生物的に、魅力的になるようだ。手動、蒸気、ネジ仕掛け、ばね仕掛け…。

機械フェチたちがよく口にする「スチーム・パンク」という言葉がある。元は90年代SF小説から派生した概念だけど、現在は言葉がひとり歩きして使われている。ごく大雑把な意味は「レトロ+近未来チックな機械」くらいの感じか。スチームとは元になった小説が19世紀産業革命当時を舞台にしていて、蒸気エンジン機械が主役であることから、蒸気機関の雰囲気(もしくはその当時の機械の雰囲気)を持つことがポイントだ。パンクは爆発したとか行っちゃってる、みたいな感覚だと思う。実はこのパンク要素の方が重要だと思うのだけど、どうも最近単なるレトロなマシン(たとえば古いタイプライターとか)をスチームパンクと呼んでしまってる例が散見される。

ところで先日江戸川乱歩「パノラマ島奇譚」を呼んでいて、はたと感じる文章があった。主人公の大富豪が孤島に奇怪な仕掛けを作り上げる話で、彼の空想になる仕掛けの計画を妻に説明する場面。少し長いけど引用する。

『又一つの世界には生命の無い鉄製の機械ばかりが密集している。絶えまもなくビンビンと廻転する黒怪物の群なのだ。‥そこに並んでいるものは、蒸汽機関だとか、電動機だとか、そういうありふれたものではなくて、ある種の夢に現れて来る様な、不可思議なる機械力の象徴なのだ。用途を無視し、大小を転倒した鉄製機械の羅列なのだ。小山のようなシリンダア、猛獣の様にうなる大飛輪、真黒な牙と牙とをかみ合わせる大歯車の争闘、怪物の腕に似たオッシレーティング・レヴァー、‥それが凡て真黒な肌に脂汗をにじませて、気違いの様に盲目滅法に廻転しているのだ。‥私の機械国は、広大な、無際涯に見える一つの世界が、無意味な機械を以って隈なく覆われているのだ。』(‥ は中略)

まさに機械的パンクをぴったり言い表しているではないか!「用途を無視」した「ある種の夢に出てくるような」「不可思議なる機械力」。そう、機械力の誇示が必要十分を逸脱して、空想やアートの領域にはみ出てしまっているのが「パンク」なのだ。

パノラマ島奇譚を読んですっきりした気分でいたところに、札幌で榎忠の展覧会があることを知った。作品紹介を一目見てパノラマ島奇譚の悪夢の機械群のようだと思ったから、ぜひぜひ行きたかったけど、都合がつかず涙を飲んだ。
この男、危険。榎忠展

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胡舟

Author:胡舟
北海道オホーツクに在住し北の海のクラフトを作っています。

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