貝殻ととんぼ玉のストラップ・TAMASAI



ストラップ「TAMASAI」。
貝殻のストラップを黒いコードで作って欲しいと男性の方からご依頼があり。白い貝羽と黒いコードを見ながらデザインをどうしようか考えていたら、アイヌのタマサイを思いついた。大ぶりの貝羽が手元に残してあったので、黒とトルコブルーの自作とんぼ玉を合わせてコードを四つ畳みでしっかり編んだら、男性用に丁度良い感じのストラップになった。喜んでいただけたし自分でも気に入ったので、もう一点作ってサイトにアップしたものが下の画像。2作目は群青の玉を足してある。上は依頼で製作した最初のもの。
創作クラフト&アクセサリー 胡舟クラフト

アイヌは江戸や中国やヨーロッパのとんぼ玉を交易によって手に入れては、装身具に加工して使った。とんぼ玉を連ねた首飾りをタマサイと呼び、盛装時や儀式時に着用したらしい。これらタマサイやシトキ(金属メダル状の飾り)、個々の玉もまとめて「アイヌ玉」と総称される。大ぶりの玉の連なりは力強く、どこか神話的な雰囲気。ほとんど無地の色玉だけで作られる首飾りは装飾性よりも精神的なものを強く感じさせる。自分たちで作っていたわけではないのにアイヌ玉が一貫した独特の個性を持つのは、さまざまな玉の中からアイヌが心に適う玉を選び取っていった結果なのだろう。色は赤や群青などもあるけれど、漆黒と白と水色が圧倒的に多い。特に水色は必ず使われているといっていい。黒と白と水色、これらの色にアイヌたちは何を見ていたのだろう?勝手に想像してみた。
黒は土であり、命を育む大地の色。ひいては大地に根ざして生きる人間=アイヌをも含めたすべての生き物たちの生命を象徴する色だ。白は雪の色、あるいは流氷の色。雪は天から流氷は海の彼方からやってくる。どちらも人間界とは別の遥かな世界から訪れる、厳しくも清澄な存在。つまり神性や精霊の色だと思う。水色は海、そして空。人間の営みを見守る天と豊かな恵みをもたらす海、つまり広大無辺な自然を象徴する色だろう。そう考えるとこの3色は北海道にぴったりな気がする。アイヌは自然の全てに霊性を視、山や河や湖も生き物だと考えていたという。人間、神、自然の融和こそ彼らの自然観であり精神性の核なのではないだろうか、などと想像した。

タマサイ
アイヌ玉(シトキ)
タマサイ2種
シトキ
プロフィール

胡舟

Author:胡舟
北海道オホーツクに在住し北の海のクラフトを作っています。

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