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額クラフト



新作額クラフト「夜明けの夢」。
パソコンのマザーボードに蝶・ポストカード・切手・ビーズをコラージュ。

マザーボードは昔使っていたパソコン(Windows95 Aptiva)を捨てるために解体したらきれいだったので取っておいたもの。制作に足掛け2年以上かかった。大変だった事はいろいろあって、まず基盤にくっついてる抵抗やらなんやらを全て取り除くのが大仕事。そこへ最初鉱石やガラスをレイアウトしてみたけど、素材と基盤が喧嘩してしまってどうもうまくない。ならば紙で行こうと。
構想はハンダを銀河に見立てて、銀河を歩く詩人・宮沢賢治の写真を貼ろうと思った。黒いコートに帽子で何か考えるようにうつむきがちで歩く有名なポートレートで。でも出版物から切り抜いた古い写真は、粗く輪郭がぼんやりしていてコントラストが足りなかった。雰囲気は合っていたので残念だったけれど泣く泣くボツ。コラージュというと洋風が多いので日本的な感じを出したかったけど仕方がない。
そこで次の秘策。昔NYで購入してとても気に入っているアンティークポストカードを使うことにした。舞台でスポットライトを浴びる女優の後姿は美しく艶かしく高貴でもあり、神秘的な雰囲気を漂わせていて絶好の素材。この女性像を合わせてみたとき自然と「生の蝶も組み合わせよう」と思った。標本を買おうかと考えたが、高くつくので結局標本にする前のミヤマカラスアゲハを購入。ここで最大の試練、蝶の体から翅(はね)だけを取り外すという大仕事が待っていた。怖かった(泣)。黒い紙の上に翅を広げて接着して切り抜きレイアウト。その後も孔雀の羽を足してみたり数ヶ月もあれこれ悩んだけれど、結局基盤の美しさを最大に生かすようシンプルにまとめることで落ち着いた。箱もマザーボードに合わせて作った。

『ユートピア・パークウェイに建つ静かな家の地下室で、彼は何時間もかけていくつかの物を動かし、それらを箱内のアイテムの新しい位置関係の中に据える。時には動かすといってもほんの2、3ミリだけのこともある。またあるときは、さながらチェスの駒を持ち上げるみたいにその物体を持ち上げ、長い間じっとしたまま、込み入った熟考に浸る』
…チャールズ・シミック「コーネルの箱」より「魂のチェスボード」の一節

ジョゼフ・コーネルを引き合いに出すのは畏れ多いが、製作中思い浮かんだのはやはりコーネルのことで、特にこの描写だった。コラージュ制作とは物体を使っての詩作であり、ある律に従った宇宙を構成することだがその”律”は頭でひねり出すのではなく、見えずとも確かに存在するそれを全霊かけて捕まえなくてはならない。だから作業自体は消耗戦だ。一日中出来かけの物を前にしてガマの油のガマよろしく座り、ふと気づいたら今日はビーズ一粒足すことも引くこともできなかったと愕然とする夜がいくつあったことだろう。

創作クラフト&アクセサリー 胡舟クラフト
プロフィール

胡舟

Author:胡舟
北海道オホーツクに在住し北の海のクラフトを作っています。

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