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マイケル・ジャクソン ~人工の夢の中へ~

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毎日報道や特集を目にしてても今ひとつ信じられなかったマイケル・ジャクソンの死。追悼式も営まれてしまい、いよいよ日一日と伝説化していくんだろうなぁ。まさかクィンシーやリズやダイアナ・ロスやバブルス(!)より先にいくとは誰が予想したろうか…。御三方は追悼式欠席したそうだ、すごくわかる。肉親のように接してきた人たちにはショックと悲しみが大きすぎるのだろう。この記事を書きかけながらグズグズしていた私も、いまだにロンドン公演への壮大な釣りなんじゃないかと思う気持ちもあったりして、もう二度と彼に逢えないなんて信じたくない。でもやっぱりキチンと書いておきたいと思った。
自分のことを「僕は機械。十分に油を差す必要がある」と言ってたそうだけど、本当にそう思ってたんじゃないかと思う。誰かが「人間も自然の一部だから自然に逆らったことしていたら身体を痛めるよ」などと諭したって聞かなかったろう。マイケルは”人工”が大好きだから。体を整えるのは薬、心を楽しませるのはアミューズメント。その人工信仰は徹底してた。自らの肉体だって人工的に改良可能と信じてた。長い人生を見据えて心身を保つなどという大人の常識は持ち合わせず、いつも瞬間のスパークに生きた。だからこそ彼のパフォーマンスはあんなに圧倒的な爆発力を持っていたのだろう。
テレビで見たネバーランドの中はおびただしい遊具や人形で溢れていた。執拗なまでに子供の世界を構築しようとしたのはなぜだったのだろう。彼が本当に心から欲したのは、取り上げられ永遠に失われた子供時代だったのかもしれない。暴力的で心の冷たい父親がスパルタ教育で作り上げたジャクソン5時代にはほとんどに学校に通えず、友達と遊んだことも満足な休みも無かった。その上ジャクソン5の中心であり顔であったにもかかわらず褒められることもなく、逆に父親からいつも大きな鼻をからかわれてコンプレックスになった。失われた子供時代への強烈な憧れは、マイケルのある部分を子供のままに保ったのだろう。マイケルの笑顔は無邪気で穢れを知らない赤ん坊みたいだし、グロテスクなものへの興味は無邪気に虫の肢をもぎとる子供の残酷さのようだし、人工物好きはいかにも現代アメリカの子供らしい。Speed Demonのようなカッコいい曲をウサギの被り物CGにしてしまったり、ロボットに変身して悪者を倒したりするナンセンスで子供っぽいマイケルが大好き。超展開連続のMOON WALKERはマイケルの稚気炸裂だ。子供時代からずっとショーからショーへの生活で、舞台の上に一夜だけ作り上げられた人工セットみたいな刹那的な美と夢を愛するようになったのかもしれない。また彼の歌う平和やエコロジーへのメッセージは、子供のようにピュアでストレートだ。”殺し合いは無益だ、僕らはみんな仲間””世界を癒しより良い場所に変えていこう””まず鏡の中の男(自分自身)を変えよう”大人が声高に言うと上っ面だけの偽善ぽくて胡散臭く聞こえてしまいそうなことが、根が子供のままで純真なマイケルだからこそ、世界中の人々の心に響くメッセージとなるのだろう。
ロンドン公演のためのリハーサルビデオが大量に残されているという。それらを編集してCGでマイケルを蘇らせて公開して欲しい。心から観てみたい。CG大好きだったマイケルだからきっと喜ぶと思うのだ。

(Speed Demon ダンス部分。マイケルのキュートな表情がたくさん)


なくなる2日前のリハーサル映像が公開された。


曲は「They don't care about us」。パッと見たところ体型もキレも変わってなくてビックリ。なによりも、全盛期のライブと同じようにダンスをやろうとしていることに驚いた。この内容で50公演…。
3月の正式発表時の彼を見た時、激しいダンスはもう無理ではと思った。ダンスはダンサーに任せて歌うだけなのかなと。それでも全然構わないとファンなら思う。もう一度マイケルのライブが観られるだけで僥倖というものだ。いずれDVDが出るだろうと、ロンドン公演をすごく楽しみにしていた。でもそんな生ぬるい予見を遥かに超えて、彼はプロ中のプロであり真の大スターだったのだ。コンサートの全貌はわからないけど、ダンスも歌もきっちりやるつもりでいたのが伝わる。ステージ上のマイケルはまるでステージそのものからパワーを吸い上げているみたいに不思議な熱気に溢れ、ブランクも50歳という年齢もあの半病人みたいな衰えもまったく感じさせない。薬物過剰摂取が不幸へと行き着く日が遠からずやってくるとしても、もしファイナルコンサートを企画しなければまだ生きていられたかもしれない。だとしたら彼はステージのために命を落としたともいえる。ステージに生きてステージに死んだ KING OF POP …
『花の中の女王よ、六ヶ月もお前は咲き続けた。しかし女王である以上、もちろんそれはお前の義務なのだ』秋のバラについて。カレル・チャペック

2009.3.6 This is it発表


このときのマイケルが好きでこの動画は繰り返し観てた。久しぶりにファンの熱狂的な歓声に迎えられてマイケル嬉しそう。激痩せながら思っていたより体調も良さそうに見えて、グラサンに隠れてはいるけど彼らしいチャーミングな表情も見て取れる。ファンの歓声やテンションをぐんぐん吸い込んでその場でエネルギーに変えていくような、独特の濃密な感覚がすごく好きだ。なんか涙が出てきた。
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胡舟

Author:胡舟
北海道オホーツクに在住し北の海のクラフトを作っています。

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