インレイ

インレイ(inlay)は英語ではめ込むという意味で象嵌のことを言う。このところ私がかかりきっているのがこれ。木に溝を彫って貝殻や金属片を埋め込み、磨き上げて仕上げる。工程が何段階もあって複雑な細かい作業だけど、やっていると時間を忘れて熱中する。銘木は単体でも磨くときれいなのに、そこに真鍮やアオガイなど異素材の輝きが加えられ、全体が完全にひとつになるまで磨かれたときの美しさはなんともいえない。とはいえまだはじめたばかりで、腕が未熟なのがあれだけど。
インレイの作業をしているとき、ふとこれって人生と同じだと思った。さまざまな美しいものを刻み込んでいこうとするけど、時々手元が狂って思わぬ傷をつけてしまう。望まない物が刻印されてしまうこともある。うまくサンドペーパーで削って消せる小さな傷もあれば、消えない傷もある。それはそれとして模様にしてしまったり、上からまた何かはめ込んだり。そうして最後に磨き上げてどんな模様が浮かび上がるのかはまだわからない。大切なのは一番最後に美しいものが浮かび上がってきて、それをわぁきれいって思えるかどうかだけ。きっとそうだ。
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胡舟

Author:胡舟
北海道オホーツクに在住し北の海のクラフトを作っています。

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