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マイケル・ジャクソンの講演~無償の愛こそが癒しに

2009年にマイケルが突然この世を去ってからもう1年。一周忌を前にマイケルを特集した本を読んだ。その本で初めて2001年3月6日にマイケルがオックスフォード大学で講演を行っていたことを知り、その全文を読んで激しく心を打たれた。
昔からマイケルファンではあるけれど、子供たちの問題や環境問題をテーマにした「Heal the World」「Earth Song」などの一連の曲があまり好きではなかった。(ただしMan in the Mirrorを除いて。)メッセージがストレートすぎ純粋すぎる、と感じていたのだ。無邪気な子供じみた、悪く言えば青臭い理想論なのじゃないかと。
でもこの講演内容を読みあらためてマイケルの考え方を知ってから、私の考えは変わって、同時にマイケルその人への印象も随分変わったと思う。子供なんかではない大人の中の大人。私が想像していたよりもずっと高い視点から、強い信念に貫かれて真剣にかつ冷静に考えていたことを思い、今あらためて重い感銘を受けている。(こうした運動に携わると情緒的に傾きやすいと思うけれど、その点マイケルは驚くほどに冷静で辛抱強い。)自分はマイケルの何を知っていたのだろう?…
自分が読み返して忘れないために、ここに講演の”核心部分と思える”一部を抜粋する。(太字は私が。意味をわかりやすくするために一部で文章の前後を入れ替えた。)ここにあるのはスーパースターとは違う、人格者マイケルの思想。人生の苦しみに耐え、克服しようともがき、癒しを欲し、やがて他者への慈愛へと目覚めていった人間マイケル・ジャクソンだ。

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わたしは比較的短い間に、多くの体験をしてきたため自分がまだ42歳であるのが信じられません。精神年齢は80歳には達していると思います―。
わたしたちはみな、幼児期の産物です。子ども時代は、人格形成に大きく影響します。でも、私にはすばらしい子ども時代はありませんでした。両親や周りの大人からの愛情を一身に浴び、夢中になって遊べるはずの貴重な時期を過ごさずに来てしまいました。
ジャクソン5をご存じの方はわたしが若干5歳という年齢でデビューしたことをご存じでしょう。それ以来、歌い、踊り続けています。‥これはわたしの運命で、周りで遊んでいる子どもたちの笑い声をうらやむことしかできませんでした。わたしのプロとしての人生に、息抜きなどありませんでした。

みなさんの同情を買うために、この話をしたのではありません。わたしが言いたいのは、現代では子ども時代が悲惨な状況になってきているのです。それは世界共通の不幸であり、悲劇です。喜びを感じたことのない、権利を与えられない、自由を許されない、子どもらしさを知らないたくさんの子どもたちが生み出されているのです。

愛を与えられない子どもたちは、ほかの家族たちから距離を取りつつ成長していきます。この新しい世代――(物質的には恵まれていても)心はやるせなさで満ちた世代です。そして、苦しんでいるのは子どもだけではありません。大人も同じです。子どもの体をした小さな大人を育てようと努力すればするほど、大人の中の子どもらしさも失われていきます。大人の生活にも、子ども的な部分を必要とする場合がたくさんあるのです

みなさん、愛は家族にとって、最も貴重な財産であり、豊かな遺産であり、黄金の贈り物です。昔の人たちには豊かさはなかったかもしれません。‥しかし、大人たちは生活の中で子どもたちのことを最優先に考えたのです。
どの人も、自分が愛される対象であると実感することが、認識の土台、つまり意識のはじまりなのです。髪の色が赤か茶色かを知る以前に、肌の色が黒か白かを知る以前に、どんな宗教に属しているかを知る以前に、自分が愛されていることを実感できなくてはならないのです。
愛されている実感をもってこの世に生を受け、愛されている実感をもってこの世から去るなら、生きている間に起こるすべてを乗り越えられるのです
たとえ中傷されたとしても、そう感じないでしょう。虐げられようとも、へこたれないでしょう。愛情を受けて育ってきた人を、心から傷つけることはできません。自分が愛される価値のある人間だという実感をもっているからです。それ以外の感情はただの包み紙のようなものです。

しかし、愛された記憶がなければ、心を満たすものを求め、世界中を探し回るようになります。本当に探し求めているのは、無償の愛、つまりは無条件に受け入れられることです。生まれた時に享受できなかったものなのです。
‥今日、多くの子どもたちは愛に飢えた子犬のようです。そのような子どもたちは親のことを考えようとしません。そのままにしておくと、ひどい場合は親に恨みや怒りを抱き、その結果、親は自分のまいた種で、自らの首を絞めることになるでしょう。
このような過ちは今日ここにいるだれにもおかして欲しくありません。ですから、自分が愛されていないと感じても親を許すよう、世界中の子どもたちに呼びかけているのです。

わたしにはのんびりとした子ども時代がなかったと聞いて、驚く人はいないでしょう。父とわたしとの間の重圧や緊張はよく取り上げられます。父は厳しい人で、小さいころから私たち兄弟がすばらしいアーティストになるよう強要しました。父は愛情を示すのが苦手で、まともに愛していると言われたことは一度もありませんし、褒められたこともありません。ステージで成功をおさめても、まあまあだとしか言ってくれませんでした。
父は何も増して、わたしたちが仕事上成功することを望んでいるように思われました。父にはマネージメントの才能があり、そのおかげで、わたしたち兄弟はプロとして成功しました。芸能人として訓練され、わたしは父の指導のもと、敷かれたレールから足を踏み外すことはできませんでした。
でもわたしが本当に欲しかったのは、「お父さん」です。自分を愛してくれる父親がほしかったんです。父は愛情を示してくれたことがありませんでした。

自分自身が父親となり、ある日わたしは、我が子プリンスとパリスが大きくなった時、自分がどう思われたいと考えているのか自問しました。(有名人の子供として)あの子たちの人生に困難がつきまとっているのも事実です。‥あの子たちが大きくなって、わたしを恨んだら?‥どうして僕たちには普通の子ども時代がなかったの、と聞くでしょうか。
その時、子どもたちがいい方向に解釈してくれるといいと思います。「あの特殊な状況の中で、父さんはできるだけのことをしてくれた。父さんは完璧ではなかったけど、温かで、まあまあで、ぼくたちを愛する努力をしてくれた」とあの子たちが心の中でつぶやいてくれるといいなと思うのです。
あの子たちが批判するのでなく、いい面、つまりわたしがあの子たちのために喜んで犠牲を払ったことに目を向けてくれればいいと思います。 わたしたちは綿密な計画を立て、努力をしても、常に過ちをおかしてしまうものなのです。それが人間なのです。

このことを考える時、わたしは父のことを思わずにいられません。 子どものころ、愛されたという実感はないけれど、父がわたしを愛してくれていたに違いないと認めざるを得ないのです。‥そこで今日これからは、父がしてくれなかったことに目を向けるのでなく、父がしてくれたこと、父の努力に目を向けようと思います。 そして、父を非難するのをやめようと思います。

(以下、南部の貧しい黒人家庭に生まれて差別の中で苦労して育ち、家族を養うために製鉄所で骨身を削って働いた父親の半生が語られる。自分と同じ思いをさせないために、頑なまでに子供たちを成功させようとしたのだろうと思いやる。)
‥時とともに、苦痛は感謝の気持ちへ変わっていきました。怒りを感じていたところも、許せるようになってきました。復讐したいと思っていたところも、折り合いをつけられるようになりました。はじめに感じていた怒りは寛容さへとゆっくり変わっていきました。

わたしは、このままでは完璧な大人にも、無償の愛を与えられる親にもなり得ないことがわかり、子ども時代のつらい記憶の扉を閉めました。みなさんにも、そうしてほしいのです。‥親を非難するのではなく、尊敬しましょう。物事をいい方向に考えましょう。だから私は父を許し、父を非難するのをやめようと思うのです。父を許したい。「お父さん」をほしいから。結局わたしには彼しかいないのです。
わたしは過去の重荷を肩から降ろし、父との新しい関係を踏み出したいのです。過去のつらい記憶に邪魔されず、未来を築きたいのです。
憎しみに満ちた世界でも、望みをもたなければなりません。怒りに満ちた世界でも、慰めの心をもたなくてはなりません。絶望に満ちた世界でも、夢を忘れてはなりません。不信感に満ちた世界でも、信じなくてはなりません。

親から傷つけられたと感じていらっしゃるみなさん、失望感を捨ててください。親にあざむかれたとお思いのみなさん、これ以上自分自身をあざむくのはやめましょう。親が邪魔だと思っているみなさん、代わりに手を差し出してください。ご両親に無償の愛を与えてください。これは、みなさんに望むことであり、自分自身に言い聞かせていることでもあります。そうすれば、親たちはわたしたち子どもから愛し方を学ぶことでしょう。そうすれば、荒れ果てた寂しい世の中に、愛が取り戻されるでしょう。

10年前になりますが、わたしは「ヒール・ザ・ワールド」(Heal the World)というチャリティー活動をはじめました。‥みなさん、わたしがこの世界を、今日でさえ戦争と大虐殺に翻弄されている世界を、本当に癒せると信じているとお思いですか?わたしが子どもたちを本当に癒せると考えているとお思いですか?銃を持って学校へ行き、クラスメートを撃ち殺してしまうような子どもたちを‥?
―わたしはもちろん、そう思っています。そうでなければ、今晩ここに来ていないでしょう。すべては許すことからはじまるのです。世界を癒すためには、まず自分自身を癒さなくてはならないからです。子どもたちを癒すためには、まず子どもたちの心の中を癒さなくてはなりません。どの子どもたちも同じです。

みなさん、わたしたちがこのような世界をつくっているのです。 わたしたちがその世界に住む子どもたちなのです。
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全文は以下のサイトで読める。全ての人に示唆を与える素晴らしい内容だと思う。
マイケル・ジャクソン オックスフォード大学での講演(2001年3月6日)
プロフィール

胡舟

Author:胡舟
北海道オホーツクに在住し北の海のクラフトを作っています。

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