スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

内田百は琴を嗜む人だったようで、小説にも琴がしばしば登場する。幻想小説集「東京日記」の中に琴の一話があるし、琴の検校を主人公にした小説もある。長磯の筝・五段砧・残月・散らし一段など、床しい言葉がたくさん出てきて興趣が深い。琴って正月に赤いべべを着たお嬢さんたちが並んで「春の海」を弾くもの、というイメージしかなかったけれど、百??文学に出てくるそれは、もっと奥深い世界なのに違いない。本格的な演奏というものをいちど聴いてみたいと思っていた。

サッカーだらけのTVをガチャガチャやってたら、たまたま教育テレビで筝曲の演奏をやっていた。現代曲特集で、「三つの断章(昭和17年/中能島欣一作曲)」という曲は、それまで私が持ってた「お琴」の概念を軽く打ち破ってくれた。ラヴェルをハープで演奏したような雰囲気、それでいて果てしない空間や時の流れを感じさせる、東洋的な幽玄の雰囲気。演奏は素人目にも見るからに難しそうで、事実難曲であるらしい。そのあとの「すばるの七ツ」も繊細で美しくて素敵だった。全身を耳にして聴いてしまった。

なるほど、本モノはこういうのなんだな。曲は現代曲だったけど、響きの高さや美しさ、琴という楽器が優れてることに感じ入った。横に張った糸をかき鳴らすしぐさが機を織る様のようで、これまた日本的な美しさだと思った。
文学は広い世界への入り口、あらてためてそう感じる。
プロフィール

胡舟

Author:胡舟
北海道オホーツクに在住し北の海のクラフトを作っています。

カテゴリー
スポンサードリンク
Arcive
リンク
MOON
CURRENT MOON
検索フォーム