ぐるんぱのようちえん

ぐるんぱは象の名前だ。「さびしいな、かなしいな」といって、草に耳をこすりつけてはめそめそ泣いていたひとりぼっちのぐるんぱは、象仲間たちに鼻のシャワーで水をかけられブラシでゴシゴシ洗われて、きれいになって働くために森を出発する。まずこの出発までのシーンが愉快だ。ぐるんぱが汚れて臭いというので、仲間たちが鼻を上に向けたまま、ぐるりとぐるんぱを取り巻いて相談する。ぐるんぱっていう名前も一度きいたら心に棲みついてしまう愛らしさ。
名作絵本として有名らしい。うちにも昔あって、何度も読み返した。妹も私もこの絵本が大好きだった。たくさんあった絵本はボロボロになったり表紙がとれたりしてだんだん処分されていったけど、最期まで残った中に「ぐるんぱ」もあった。多分実家に行けばまだ残っているだろう。
今この文章を書くために調べていて、作画が堀内誠一さんだったと初めて知って驚いた。あの「マザーグース」で独特の世界観を作り上げた堀内さんが、こんなほのぼのした可愛らしい絵を描いていたなんて。
絵本の中の絵をアップしたかったけど、表紙絵しか見つけられなかった。でも、どこへ行っても並外れて大きなものしか作れないぐるんぱが今で言うリストラされて「ぐるんぱは、しょんぼりしょんぼり。がっかりしてくーさんのところを出て行きました」などというお話のリズムや、ぐるんぱが子供たちに「ぼくは大きなゾウだぞう」と歌を歌ってあげたりする一つ一つの絵は、今でもしっかり覚えている。
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付記(2007年11月)
先日実家へ帰ったので、物置から絵本を探し出して写真に撮ってきた。
最初のページの題字。

下に「これは ぐるんぱが かいた じ です」と書いてある。この字がとっても好き。

ぐるんぱが草に耳をこすりつけて「さびしいな」と泣いてるところ。

ぐるんぱを囲んで会議中。鼻を上に向けているのはぐるんぱがくさいから。

川へ連れて行ってみんなで洗う。
このあとぐるんぱは街へ出て働く。くつやさんにビスケットやさんにピアノ工場…と楽しい絵が続くのだけど、残念!ここでデジカメの電池切れ…(><)(飛行機の時間が迫っていたため已む無く諦めた。無念)
初版は1966年。嬉しいことに現在でもAmazonで購入できる(しかも安価)。検索したところ2003年に英訳されて英語圏でも出版されているらしい。タイトルは「Groompa’s Kindergarten」。